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皆さんこんにちは!
合資会社大坪組、更新担当の中西です。
目次
今回は、私たちが携わる「海洋運送業(海運業)」と環境問題について、現場の視点から詳しくご紹介します。
世界の物流の90%以上は海運によって支えられています。
貨物船、コンテナ船、タンカー、RORO船など、巨大な船が日々、世界中の物資を運んでいますが――
この大規模な産業には、地球環境への影響という大きな課題も背負っています。
海運は鉄道・航空・トラックに比べて輸送効率が高く、単位あたりのCO₂排出量は少ないとされています。
しかし、地球全体の温室効果ガス排出量の**約3%**を海運が占めており、その規模は航空業界と同等かそれ以上です。
大型コンテナ船1隻が1日で排出するCO₂量:自家用車数万台分
重油(C重油)の使用による**硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)**の発生も深刻
燃料や潤滑油の漏洩
洗浄水(バラスト水)の排出による外来生物の拡散
港湾での荷役中に生じる粉塵・騒音・排水
環境保全の観点からは、これらのリスクに対する**「予防と制御」が今後のカギ**を握っています。
世界の海運は、国境を越える産業であるため、**国際海事機関(IMO)**を中心に統一された環境規制が進んでいます。
燃料中の硫黄含有量上限が3.5% → 0.5%以下へ大幅引き下げ
対応策:低硫黄燃料の導入、スクラバー(排ガス洗浄装置)の設置、LNG燃料化
船の設計と運航方法に応じて、温室効果ガス排出レベルを評価
2023年以降、E〜Aの等級で評価され、評価が悪い船は運航制限の対象に
日本の主要海運会社(例:商船三井、日本郵船、川崎汽船)も、以下のような環境負荷低減の取り組みを加速しています。
ハイブリッド自動車運搬船(EV×LNG)導入
バイオ燃料・アンモニア燃料の試験運航
港湾での陸電化(陸上から電気供給)による停泊時の排ガスゼロ化
船体デザインの改良による抵抗低減と燃費向上
海上だけでなく、船が着く「港」や「陸の運送」との連携によって、総合的な環境負荷の削減が実現します。
港湾での電動フォークリフト・EVトラック導入
デジタル化による待機時間削減・荷役効率アップ
サプライチェーン全体での脱炭素意識の共有
海運業は、グローバル経済の大動脈でありながら、同時に地球環境と向き合う使命も持っています。
今後は、単なる輸送効率だけでなく、
「環境へのやさしさ」と「企業の信頼性」を測る新しい評価軸が求められます。
次回は、そうした海洋運送業が未来へ向けてどう進化していくのか。
テクノロジー、燃料転換、サステナブル経営の観点からご紹介します!
次回もお楽しみに!