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第12回海洋運送業雑学講座

皆さんこんにちは!

 

合資会社大坪組、更新担当の中西です。

 

 

海洋運送業の未来──ゼロエミッション船と“スマート海運”の時代へ


今回は、海洋運送業がこれからどう変わっていくのか、「未来の海運業の姿」についてお話しします。

脱炭素・自動化・IT連携――
かつては“海の上の重厚長大産業”と呼ばれた海運が、今、世界最先端の技術と環境思想が交差するフィールドへと進化しています。


◆ 未来①:ゼロエミッション船の実現へ

 

最も注目されているのが、**温室効果ガスを一切排出しない「ゼロエミッション船」**の開発と導入です。

▷ 使用燃料の転換

  • LNG(液化天然ガス):既に実用化が進むが、CO₂削減効果は約20〜25%

  • グリーンアンモニア・グリーンメタノール:CO₂を排出せず燃焼可能

  • 水素燃料・燃料電池:排出ゼロ。将来的には航行中の発電+推進機能の統合が目指されている

 

▷ 船体構造の革新

  • 超低抵抗型の「ウルトラスリムハル」

  • ウィングセイル(帆)の補助推進

  • 空気潤滑システム(泡で摩擦低減)


◆ 未来②:スマートシップ×AI×自動運航

 

今後、船舶には以下のようなスマート技術が搭載されていきます。

  • AIによる最適航路提案(海象・天候・混雑状況から判断)

  • 自動着岸システムによる精密な港湾接岸

  • 自律運航船(MASS:Maritime Autonomous Surface Ship)の実用化

  • 運航データのリアルタイム監視・遠隔管理(IoT)

特に、人手不足が深刻な内航業界では、自動運航技術が救世主となる可能性があります。


◆ 未来③:環境経営の評価指標化

 

  • CO₂排出量が輸出入価格に影響する時代へ(「カーボンプライシング」)

  • ESG投資の対象として、環境配慮型海運業者に資金が集中

  • 顧客企業から「脱炭素輸送証明書」提出を求められるケースも増加中

つまり、環境配慮=新たな企業価値。
“運ぶ技術”から“選ばれる輸送”へと、海運業の立ち位置が変わり始めています。


◆ 未来④:港と都市がつながる“海上物流プラットフォーム”

 

  • ドローン配送と連携した“港→ビル屋上”への海上輸送

  • 近未来の**海上都市・浮体物流基地(FLoating Logistics Base)**との接続

  • 国境を越えたスマート物流圏の形成(例:日中韓の東アジアグリーン回廊)

海運は、単なる海の上の交通手段ではなく、都市と経済を繋ぐ次世代インフラへと変貌していきます。


◆ まとめ:未来の海運は、“静かで、見えない物流革命”

 

大量輸送、低コスト、高効率という本来の強みはそのままに、

  • 環境負荷ゼロ

  • 自動化・無人化

  • データ主導の運航と保守

  • 国際連携によるスマートグリッド化

という4つの進化を遂げ、海運業は**“静かな物流革命”**の中心に立ちます。

地球と経済を同時に守る、未来の船と運び方――
その実現に向けて、私たちも歩みを止めず進化を続けてまいります。

次回もお楽しみに!

 

 

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