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月別アーカイブ: 2025年6月

第12回海洋運送業雑学講座

皆さんこんにちは!

 

合資会社大坪組、更新担当の中西です。

 

 

海洋運送業の未来──ゼロエミッション船と“スマート海運”の時代へ


今回は、海洋運送業がこれからどう変わっていくのか、「未来の海運業の姿」についてお話しします。

脱炭素・自動化・IT連携――
かつては“海の上の重厚長大産業”と呼ばれた海運が、今、世界最先端の技術と環境思想が交差するフィールドへと進化しています。


◆ 未来①:ゼロエミッション船の実現へ

 

最も注目されているのが、**温室効果ガスを一切排出しない「ゼロエミッション船」**の開発と導入です。

▷ 使用燃料の転換

  • LNG(液化天然ガス):既に実用化が進むが、CO₂削減効果は約20〜25%

  • グリーンアンモニア・グリーンメタノール:CO₂を排出せず燃焼可能

  • 水素燃料・燃料電池:排出ゼロ。将来的には航行中の発電+推進機能の統合が目指されている

 

▷ 船体構造の革新

  • 超低抵抗型の「ウルトラスリムハル」

  • ウィングセイル(帆)の補助推進

  • 空気潤滑システム(泡で摩擦低減)


◆ 未来②:スマートシップ×AI×自動運航

 

今後、船舶には以下のようなスマート技術が搭載されていきます。

  • AIによる最適航路提案(海象・天候・混雑状況から判断)

  • 自動着岸システムによる精密な港湾接岸

  • 自律運航船(MASS:Maritime Autonomous Surface Ship)の実用化

  • 運航データのリアルタイム監視・遠隔管理(IoT)

特に、人手不足が深刻な内航業界では、自動運航技術が救世主となる可能性があります。


◆ 未来③:環境経営の評価指標化

 

  • CO₂排出量が輸出入価格に影響する時代へ(「カーボンプライシング」)

  • ESG投資の対象として、環境配慮型海運業者に資金が集中

  • 顧客企業から「脱炭素輸送証明書」提出を求められるケースも増加中

つまり、環境配慮=新たな企業価値。
“運ぶ技術”から“選ばれる輸送”へと、海運業の立ち位置が変わり始めています。


◆ 未来④:港と都市がつながる“海上物流プラットフォーム”

 

  • ドローン配送と連携した“港→ビル屋上”への海上輸送

  • 近未来の**海上都市・浮体物流基地(FLoating Logistics Base)**との接続

  • 国境を越えたスマート物流圏の形成(例:日中韓の東アジアグリーン回廊)

海運は、単なる海の上の交通手段ではなく、都市と経済を繋ぐ次世代インフラへと変貌していきます。


◆ まとめ:未来の海運は、“静かで、見えない物流革命”

 

大量輸送、低コスト、高効率という本来の強みはそのままに、

  • 環境負荷ゼロ

  • 自動化・無人化

  • データ主導の運航と保守

  • 国際連携によるスマートグリッド化

という4つの進化を遂げ、海運業は**“静かな物流革命”**の中心に立ちます。

地球と経済を同時に守る、未来の船と運び方――
その実現に向けて、私たちも歩みを止めず進化を続けてまいります。

次回もお楽しみに!

 

 

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第11回海洋運送業雑学講座

皆さんこんにちは!

 

合資会社大坪組、更新担当の中西です。

 

 

 

海洋運送業と環境問題──巨大な物流を支える“見えない責任”


今回は、私たちが携わる「海洋運送業(海運業)」と環境問題について、現場の視点から詳しくご紹介します。

世界の物流の90%以上は海運によって支えられています。
貨物船、コンテナ船、タンカー、RORO船など、巨大な船が日々、世界中の物資を運んでいますが――
この大規模な産業には、地球環境への影響という大きな課題も背負っています。


◆ 海運業の環境負荷とは?

 

① CO₂排出量の規模

海運は鉄道・航空・トラックに比べて輸送効率が高く、単位あたりのCO₂排出量は少ないとされています。
しかし、地球全体の温室効果ガス排出量の**約3%**を海運が占めており、その規模は航空業界と同等かそれ以上です。

  • 大型コンテナ船1隻が1日で排出するCO₂量:自家用車数万台分

  • 重油(C重油)の使用による**硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)**の発生も深刻

 

② 海洋汚染リスク

  • 燃料や潤滑油の漏洩

  • 洗浄水(バラスト水)の排出による外来生物の拡散

  • 港湾での荷役中に生じる粉塵・騒音・排水

環境保全の観点からは、これらのリスクに対する**「予防と制御」が今後のカギ**を握っています。


◆ 国際的な環境規制の強化

 

世界の海運は、国境を越える産業であるため、**国際海事機関(IMO)**を中心に統一された環境規制が進んでいます。

✅ 2020年1月施行:SOx規制強化(IMO2020)

  • 燃料中の硫黄含有量上限が3.5% → 0.5%以下へ大幅引き下げ

  • 対応策:低硫黄燃料の導入、スクラバー(排ガス洗浄装置)の設置、LNG燃料化

 

✅ EEXI(既存船エネルギー効率指数)・CII(運航炭素強度)制度

  • 船の設計と運航方法に応じて、温室効果ガス排出レベルを評価

  • 2023年以降、E〜Aの等級で評価され、評価が悪い船は運航制限の対象


◆ 日本の海運業界の取り組み

 

日本の主要海運会社(例:商船三井、日本郵船、川崎汽船)も、以下のような環境負荷低減の取り組みを加速しています。

  • ハイブリッド自動車運搬船(EV×LNG)導入

  • バイオ燃料・アンモニア燃料の試験運航

  • 港湾での陸電化(陸上から電気供給)による停泊時の排ガスゼロ化

  • 船体デザインの改良による抵抗低減と燃費向上


◆ 港湾・陸送との連携も不可欠

 

海上だけでなく、船が着く「港」や「陸の運送」との連携によって、総合的な環境負荷の削減が実現します。

  • 港湾での電動フォークリフト・EVトラック導入

  • デジタル化による待機時間削減・荷役効率アップ

  • サプライチェーン全体での脱炭素意識の共有


◆ まとめ

 

海運業は、グローバル経済の大動脈でありながら、同時に地球環境と向き合う使命も持っています。

今後は、単なる輸送効率だけでなく、
「環境へのやさしさ」と「企業の信頼性」を測る新しい評価軸が求められます。

次回は、そうした海洋運送業が未来へ向けてどう進化していくのか。
テクノロジー、燃料転換、サステナブル経営の観点からご紹介します!

次回もお楽しみに!

 

 

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