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皆さんこんにちは!
合資会社大坪組、更新担当の中西です。
さて今回は
~注意事項~
ということで、「冷蔵貨物」と「危険物」の海上輸送における実務上の注意点とチェックポイントを詳しく解説していきます。
目次 [hide]
海上輸送は、コスト効率に優れ、大量輸送に向いた手段として多くの国際物流・国内離島輸送で用いられています。
しかし、すべての貨物が同じ条件で運べるわけではありません。
とりわけ注意が必要なのが、
温度管理が必要な「冷蔵・冷凍貨物」
法律上の規制が厳しい「危険物貨物」
これらは、ちょっとしたミスが貨物の損傷や事故、最悪の場合は法令違反・処罰につながるため、事前の準備と管理が極めて重要です。
冷蔵貨物とは、一定の温度帯を維持しなければ品質が著しく劣化する商品のことです。
例としては
生鮮食品(果物・野菜・魚介類・精肉)
医薬品・ワクチン・化学薬品(温度帯指定あり)
冷凍加工品(アイスクリーム、冷凍弁当など)
これらの貨物は、輸送中の温度逸脱が直接的な品質劣化につながるため、以下の点に注意が必要です。
リーファーコンテナ(Reefer Container)は、温度を一定に保つ冷蔵・冷凍専用の輸送容器です。
温度帯 | 主な対象貨物 |
---|---|
-20℃以下 | 冷凍食品、アイスクリーム |
0~5℃ | 魚介類、生花、果物 |
15~25℃ | 医薬品、化粧品 |
チェックポイント
温度設定値の確認(±0.5℃の精度が求められる場合あり)
予冷処理の実施(貨物積込前に所定温度まで冷却)
温度記録装置の動作確認(ログ保存義務がある場合も)
電源確保(冷却中は電源供給が途切れないよう管理)
動植物検疫(果物・肉類など)
衛生証明書(輸出先国による要求)
「KEEP FROZEN」「REFRIGERATED」などのラベル表記
HSコードによる品目管理と分類の正確性
保険会社による「温度管理逸脱特約」付き海上保険の確認
リーファーコンテナの電源切れ・コンプレッサー故障対策
到着地での冷蔵保管施設の確保(港での通関待ちも考慮)
危険物とは、輸送中に爆発・火災・有毒ガスなどを発生させる恐れがある貨物のことです。国際的にはIMDGコード(International Maritime Dangerous Goods Code)により分類されています。
クラス | 内容 | 例 |
---|---|---|
クラス1 | 火薬類 | 花火、爆薬 |
クラス2 | ガス類 | LPG、エアゾール |
クラス3 | 引火性液体 | ガソリン、アルコール |
クラス6 | 有毒物質 | 農薬、医薬品中間体 |
クラス8 | 腐食性物質 | 酸、アルカリ性化学薬品 |
危険物を海上輸送するには、以下のステップが必要です
SDS(安全データシート)の取得
IMDGコードによるUN番号・クラス分類の確認
船会社への事前申請(危険物申告書)
輸出入国での特別許可(該当品目の場合)
Point: 書類不備・記載ミスがあると船積拒否や罰則の対象になることも。早めの準備と正確な記入が重要です。
UNマーク付きの危険物専用容器・ドラム缶を使用
危険ラベル(クラス別マーク)の貼付
包装方法・梱包の強度(破損・漏れ防止)
例: 引火性液体は「フレーム付コンテナ」+「ドラム缶」で対応することが多く、密閉性と換気性の両立がポイントです。
危険物同士の混載制限(例:酸と可燃物は混載不可)
「船上甲板積載指定」や「隔離配置」の必要があるケース
搭載トン数制限(港湾や国の規定で制限される場合も)
冷蔵貨物・危険物、いずれも、
間違った取り扱い=重大事故・品質劣化
正しい事前準備=スムーズな輸送・信用向上
につながります。
そのためには
事前打ち合わせ(荷主・輸送会社・通関業者)
チェックリストや作業手順書の整備
作業者への教育訓練と責任者の配置
事故発生時のマニュアル整備(緊急連絡先含む)
が非常に重要です。
海上輸送において冷蔵貨物と危険物は、最も高い管理レベルが求められる分野です。
それだけに、プロとしての事前確認・設備対応・書類整備・チーム連携が求められます。
「温度を1℃守れたか?」
「マークの位置は正しいか?」
「ラベルは剥がれていないか?」
その一つひとつが、物流の品質と安全を守る力になります。
最後に:冷蔵貨物・危険物 海上輸送チェックリスト
項目 | 冷蔵貨物 | 危険物 |
---|---|---|
温度管理 | リーファー設定温度/予冷/温度ログ | 該当なし |
書類整備 | 通関書類/検疫証明/衛生証明 | SDS/危険物申告書/IMDGコード分類 |
容器・梱包 | 耐冷仕様/断熱材使用 | UN認定容器/ラベル・マーク貼付 |
損害対応 | 温度逸脱時の保険/クレーム処理体制 | 漏れ・爆発時の緊急対応体制 |